はじめに
性行為を楽しむことは、心身ともに健康的な関係性を築く上で大切です。しかし、望まない妊娠は避けたいと考える人も多いでしょう。そこで注目されているのが、自然周期法の一つ「おぎの式」という避妊方法です。
この記事では、産科医の立場から、おぎの式について詳しく解説していきます。避妊の成功率はどの程度なのか、膣内射精でも大丈夫なのか、性病予防にもなるのか、実施する際の注意点は何かなど、思春期を過ぎた男女の皆さんに役立つ情報をお届けします。
「おぎの式」とは?
まずは、おぎの式とはどのような避妊方法なのか、詳しく見ていきましょう。
おぎの式は、排卵日を把握し、排卵前後の一定期間、性行為を控えることで避妊を図る自然周期法の一種です。その名の通り、医師の大木操らが考案したものです。
具体的な方法は以下の通りです。
- 基礎体温を毎日測定し、排卵日を確認する
- 排卵日の5日前から排卵後3日目までの9日間、性行為を避ける
この期間中は、受精できる可能性が高いため、性行為を控えることで、妊娠を回避しようとするのがおぎの式の狙いです。
排卵日を把握するには、基礎体温の変化に注目するのがポイントです。通常、排卵前は低め、排卵後は高めの体温が続きます。この体温の変化から、排卵日を特定することができるのです。
避妊としての適切性は?
さて、では、このおぎの式は避妊方法として適切なのでしょうか。
おぎの式は、医学的根拠に基づいた自然周期法の一種です。しかし、その避妊効果には限界があるのが現状です。
一般的に、自然周期法の避妊成功率は70-80%程度と言われています。つまり、10組に2,3組は避妊に失敗してしまう可能性があるということです。
その理由は、排卵日の特定が難しいことにあります。体温の変化は個人差が大きく、必ずしも排卵日を正確に特定できるわけではありません。また、ストレスなどの影響で、排卵パターンが乱れることもあります。
さらに、性行為のタイミングをずらし過ぎてしまうと、かえって受精のリスクが高まるという問題も。排卵前5日間は受精可能日と考えられているため、この期間を完全に避けるのは難しいのが実情です。
つまり、おぎの式は完全な避妊法ではありません。自然周期法の限界を理解した上で、別の避妊方法と組み合わせるなど、慎重に実践する必要があります。
膣内射精でも大丈夫か?
では、おぎの式を実践する際、膣内射精をしても大丈夫なのでしょうか。
基本的に、おぎの式は膣内射精を前提としていません。避妊効果を高めるには、排卵日前後の性交を控えるべきです。
しかし、現実的には、自制心を保ち続けるのは難しいかもしれません。そうした場合、せめて排卵日前後は避けるように心がけましょう。
ただし、膣内射精をした場合、妊娠リスクは高まります。精子は数日間生存することができ、排卵前の性行為でも受精する可能性があるためです。
したがって、おぎの式を実践する際は、できる限り膣外射精を心がけるのが賢明でしょう。確実な避妊を望むなら、他の避妊法との併用をおすすめします。
性病予防の観点から見た課題
おぎの式には、性病予防の観点からも課題があります。
一般的に、避妊と性病予防は別の目的を持っています。避妊方法としては有効でも、性病予防にはならない可能性があるのです。例えば、コンドームを使用しない場合、性病に感染するリスクが高まります。STIの予防には、コンドームの使用が不可欠です。
また、おぎの式では、排卵日前後を避けるものの、それ以外の日は性行為を行うことになります。そのため、性病に感染するリスクは依然として存在するのが問題です。
つまり、おぎの式を実践する際は、性病予防の観点からも、他の避妊法との併用が重要になってきます。確実な避妊と性病予防を両立させるには、コンドームの使用が必須と言えるでしょう。
おぎの式の成功率を上げるには?
さて、おぎの式を実践する際の注意点や課題について見てきましたが、では、この方法の成功率を上げるためにはどうすればよいのでしょうか。
まず重要なのは、排卵日を正確に把握することです。基礎体温の変化に注目しつつ、排卵検査薬や排卵症状の確認など、複数の指標を組み合わせると良いでしょう。
そして、性行為を避ける期間を、できるだけ長めに設定することも効果的です。例えば、排卵日の6日前から4日後まで、12日間の禁欲期間を設けるのがおすすめです。
また、おぎの式を実践する際は、ストレスの蓄積に注意を払うことも重要です。ストレスによって排卵パターンが乱れ、正確な排卵日の把握が困難になる可能性があるためです。
さらに、おぎの式と他の避妊法を組み合わせることで、確実性を高められます。コンドームの使用や、ホルモン避妊薬の併用など、複数の手段を活用するのがよいでしょう。
このように、おぎの式を実践する際は、排卵日の把握、長めの禁欲期間の設定、ストレス管理、他の避妊法との併用など、様々な工夫が必要不可欠です。これらのポイントを意識して取り組めば、避妊の成功率を高められるはずです。
おぎの式で避妊が失敗する理由は?
ではさらに踏み込んで、おぎの式で避妊が失敗する主な理由について見ていきましょう。
先述のとおり、おぎの式の避妊成功率は7080%程度とされています。つまり、10組に23組は避妊に失敗してしまうのが現状です。
その主な理由は以下の3点が考えられます。
- 排卵日の特定が難しい
- 性行為のタイミングコントロールが難しい
- 個人差が大きい
まず1点目の排卵日特定の難しさについては、既に触れました。基礎体温の変化には個人差が大きく、必ずしも正確に排卵日を把握できるわけではありません。
2点目の性行為のタイミングコントロールも大きな課題です。排卵前5日間は受精可能日とされていますが、この期間を完全に避けるのは難しい。性的欲求を抑えきれず、思わずタイミングを外してしまう可能性があるのです。
そして3点目の個人差も見逃せません。同じ方法を実践しても、個人差によって避妊の成功率が大きく変わってくるのが特徴です。中には、生理周期の変動が大きい人もいるため、正確な排卵日を把握するのが極めて難しい場合もあります。
以上のように、おぎの式にはさまざまな課題が存在します。そのため、この方法を単独で実践するのではなく、他の確実な避妊法との併用が不可欠だと言えるでしょう。
まとめ
この記事では、自然周期法の一つである「おぎの式」について、産科医の立場から詳しく解説しました。
おぎの式は、排卵日を把握し、その前後の一定期間、性行為を控えることで避妊を図る方法です。しかし、その成功率は70~80%程度にとどまり、確実な避妊法とは言えません。
また、膣内射精をした場合のリスクや、性病予防の観点からの課題もあります。そのため、おぎの式を実践する際は、排卵日の正確な把握、長めの禁欲期間の設定、ストレス管理、他の避妊法との併用など、様々な工夫が必要不可欠です。
思春期を過ぎた男女の皆さんには、この記事が、確実な避妊方法を見つける一助となれば幸いです。安全で健康的な性生活を手に入れるために、ぜひこの情報を参考にしてください。






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